🤔 UXってなにものなんだろう?について考えてみる

よく「UXデザインってなんですか?」って聞かれるので、自分なりに考えてみたことのメモです。

簡潔に答えられないUX #

そもそも自分がWebデザイナーという肩書で仕事をし始めた時代、UXなんていう言葉は存在しなかった(多分)。

ユーザービリティという言葉すら一般的ではなかったように思う。
少なくとも日本国内は。
海外では出ていたかもしれないけど、自分は海外に行ったことなんてないのでよく知らない。

自分の感覚としては「2008年あたりにユーザビリティっていう言葉を聞いたことがあるけど……気がついたらUXって言われるようになってました」みたいな感じ。

日本語に直すと「ユーザー体験」とかそんなところだと思う。
この辺は参考書籍の訳者によって変わってくることがあって「経験」で訳されることもある。
ニールセン博士のあの法則に出てくる「学習しやすさ」は、どっちかというと「体験」よりは「経験」のほうがしっくりくるかも(個人の感想です)。

UXデザインというワードになると体験設計的なイメージになると思うのだけど、これが難しい。
単純に「使いやすいデザインを作る」という話ではないし、多分……そういうのを求められてるわけでもないんだろうな……なんて、質問されるたびに思う。

UX観点でのFeedbackがほしいといわれても… #

「UX観点でのFeedbackがほしい」
「UX観点での意見がほしい」

こういったリクエストはされることが多いのだけど、自分としては「社内のデザイナーに聞くより、ユーザーをお茶に誘って話を聞いてきたほうがよっぽど上等なFeedbackをもらえますよ」と思ってる。

もちろん、ユーザーも忙しいので、リーンアナリティクスやリーンスタートアップに書かれているようなカジュアルさで協力を求めるのは難しいというのは理解している。
ここはシリコンバレーじゃない。コーヒー一杯で協力してくれる人がいたら五体投地して崇め奉るレベルで尊い存在だと思う。

それでもやっぱりユーザーの課題を解決するためにはインタビューやテストなどの定性調査は必須だと思う。
ユーザーが抱えているニーズや課題がわからなければ、本当の意味でUX観点でのFeedbackや施策案について意見を出すこともできない。

経験則からの想像はできるかもしれないが、あくまで想像であって、事実ではない。

真にUX改善をしたいというのであればユーザーと信頼関係を構築して、お互いの利益のために協力し合えるチームとなるくらいの覚悟が必要なんじゃないかと思う。

UXより、サービスデザインのほうがしっくりくる #

ユーザーの抱える課題や悩みを共有してもらって、解決案を提示して製品をつくり、ユーザーに使ってもらう(そして喜んでもらう)のがUXなのかな…と思う。

でも、自分としてはUX(ユーザー体験)デザインという言葉にしっくりこない。
デザイナーはユーザーの体験を設計しているわけではない。あくまでユーザーが思い描いている「こうなるといいな」を抽出して、製品やサービスフローを考えているだけでしかない。経験を設計している感じはしない。
これは体験のデザインというよりは、製品と通したサービスの設計なのではと最近は考えている。
いわゆる世間で言われるサービスデザインというやつに近い。

ただ、サービスデザインという言葉もキレイ過ぎてなんだかな……と思っているめんどくさい私の性格。
実際にやっていることは、noteとかメディアで紹介されているデザイナーブログでキレイにまとめられたキラキラした事例紹介みたいなものとはかけ離れている(気がする)。

華やかなものではないサービスデザイン #

セールスのメンバーと喫煙所で居合わせたときに「この機能の改善でユーザーインタビューとかできたらいいと思うんですけど、担当のお客さんにアポ取れませんか?」みたいな相談をするところからスタートして、アポ取りの見通しがたったら上司へ「施策考えるためにユーザー調査してきます」といってお許しをもらう。

アポ取りしたあとはアポを取ってもらったセールスの営業活動(打ち合わせのついでという名目になっている)に同行して、打ち合わせが終わった後30分だけ時間をもらってインタビューする。
一日で多いときは4箇所くらい回ったときもあって、終日外出しっぱなしでオフィスに出社することなく直行直帰。

インタビューがひととおり終わると、次は開発チームにインタビューを共有するために、録音データを確認して共有ドライブに保存したり、必要があればテキストの書き起こしなどもする。
一次情報と合わせて、実際にインタビューで感じた所感も書き記しておく。

インビューの共有が終わったら、関係者を集めてMTGして施策案のアイディア出しから施策案をまとめたりを繰り返す。
この段階で関係者とイメージ共有するためにポンチ絵レベルのペーパープロトみたいなものを書くこともある。

これを書きながら当時のデータを引っ張り出して見直してみるけど、自分の手元に残っているデータは大体iPadのProcreateやGoodNotesで描いたペーパープロトや走り書きのメモがほとんど。
前職のドキュメント共有ツールにはちゃんとしたドキュメントが残ってると思うけど、どこぞのデザインチームがブログで紹介しているような見た目のキレイなものではなかったと思う。

やっていることはいわゆるサービスデザインに近いことなんだけど、キラキラした華やかなものかといわれると…………愚直に自分の足で情報を取りに行っている新聞記者とかのほうがイメージとしては近い。

まとめとむすび #

UXってなにものなんだろう?と考えてみたことを振り返りつつ書き綴ってみた。

自分がやってたことを書いたところを読み返すと「なんだか苦労自慢しているみたいな文体だな…」と思わなくもないけど、苦労自慢したいわけでなく、単に「実際やってみるとこんなもんよ」っていうことが書きたかっただけだ。苦労自慢乙っていわれたら……まぁ、別にそう受け取られてもいいけど(反論するのもめんどくさくなってきた)。

UXとかサービスデザインというのは、デザイナー1人雇ったところで魔法のようにプロダクトが改善されるわけではなく、サービスプロダクトの関係者全員ができることで協力しあってはじめてワークするものなんじゃないかと思う。デザイナーはその関係者の間を走り回って踊り始めて、自分の得意領域でやれることは全部やるだけ。

少なくとも、UXはプロダクトチームが作り出すものではなく、プロダクトチームとユーザーが対話を積み重ねてできていくものなんじゃないかと思う。